<前回のあらすじ>
「解剖学」という、人体の構造、筋肉の動き、骨の配置、前にも言ったように右から左に抜けていく私。
新たな試練のはじまりでした。そこでまた、強烈な人物との出会いがあるのでした。
マニアックな集まり
そもそも、なぜ私が解剖学を学ぼうと思ったのかは、「強み」がなかったから。
ヨガインストラクターとして、年々増え続ける同業者の中で「私」が選ばれる理由は何だろう?焦燥感に駆られる日々でした。埋もれてしまうのではないか、このままでは…。
「お客様に真剣に向き合える、確かな知識と実績を持つ先生になりたい。」
それが私の切実な願いでした。そのためには、人体の土台である骨格から学ぶしかない。独学で骨の名前を一つ一つ調べていた時、YouTubeで衝撃的な人物と出会ったのです。(一方的に、ですが。)
その人こそ、ミナミさん。画面越しからでも伝わる異質なオーラ。調べてみると、その活動はまさに規格外でした。
「日本のあらゆる地域の、あらゆる運動指導者に、最高の教育を受ける機会を提供する」
壮大なミッションを掲げ、見た目はちょっと…いえ、かなりワイルドなお兄さん(失礼!)。
しかし、その実績は目を疑うばかり。19歳で起業、指導実績5000人以上、年間講義セミナー200件、資格10個以上取得という、まさに鉄人。年間休日なんて存在するのでしょうか?しかも、日本の、いや世界の超人たちと繋がりを持つ、信じられない人脈の持ち主。
そして何より衝撃的だったのが、年間2回もの人体解剖実習をコーディネートしているという事実!場所はタイのチェンマイ大学。博士の協力のもと、献体を用いて骨の形状、筋肉の位置、教科書通りではない人体のリアルが目の前で起きている、常識を覆すような学びの場。
正直、グロテスクな映像が苦手な人にはホラー以外の何物でもないでしょう。しかし、当時の私は心底「行ってみたい!」と震えたのです。
世の中は本当に広い。こんなにもすごい人が、私が今まで生きてきた世界には存在しなかった。まだまだ知られていないだけで、とんでもない才能を持つ人が山ほどいるのだろうな、と痛感しました。
そして、この時感じた驚きは、後に打ちのめされるほどの衝撃へと変わっていくのですが…それはまた別の話。
ミナミさんの熱いミッションに共鳴した私は、「地域で一番信頼される女性トレーナーになる!」という新たな目標を胸に、彼が提供する骨学、解剖学、栄養学、マーケティング学…あらゆる学びの環境に、文字通り没頭していくことになるのです。
迫りくる試練の足音
しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。
覚えたい知識はまるで天文学的な数。それに対して、私の脳みそのキャパシティは…正直、焼け石に水。一体何から手をつければいいのか、頭は常にパンク寸前でした。
筋膜連結、機能歩行学、姿勢改善、美脚の方程式、動的代謝学、神経コンディショニング…
どうですか?この単語の羅列を見ただけで、頭がクラクラするでしょ?
動画を見て、湧き上がった疑問を一つ一つ資料で調べ、手首が悲鳴を上げるほどノートに書き込んだのに、翌日には綺麗さっぱり、記憶の8割は霧散しているのです。焦燥感だけが募り、ますます頭は空っぽに…。ああ、なんて悔しいんだ!
あのときの悔しさ、思い出しても泣けてくる。
後になって知るのですが、「記憶に残すには感情から記録する」 ことが不可欠だったのですね。ただ情報を書き写すだけで満足していた当時の私には、その本質が全く理解できていませんでした。
それでも、信頼される女性トレーナーになるという強い意志を胸に、私は己の記憶力という名の巨大な壁に、無謀にも立ち向かっていく毎日を送っていたのです。
果たして、この終わりの見えない戦いに、光は差すのでしょうか?
次回、「パンク寸前の脳みそと、一筋の光」にご期待ください!
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